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建設業の「残業」を無くす、職人と会社の努力!コロナで表面化した建設業の課題と向き合い方

建築業の残業を無くす

東京都板橋区で内装仕上げ工事(LGS組立工事、ボード貼り工事)を手がける有限会社ショウエイ技建です。

この数年で注目を浴びるようになった、建設業界の働き方改革。

この記事では、建設業界未経験者の方も、これから就職を考える高校生の方にも、ショウエイ技建の「働き方」に対する取り組みが分かるようお話できればと思っております。

 

参議院が2019年に公表した「建設業における働き方改革の概要―労働環境改善に向けた主な取組―」によれば、2018年度の建設業従事者(職人)の就業時間は年間2036時間。
これは、他の産業よりも大幅に多い時間です。

 

(入社する会社にもよりますが)建設業は、他業種と比較すると一見して初年度から高給与をもらいやすい一方、常に「工期」と戦っていますので、拘束時間の管理が非常に難しかったのです。

残業代に関しても、ようやく労働基準監督署の規定に則ってきちんと計算、支払う会社が少しずつ増えてきたように感じます。

 

本日は、職人の残業に関して、建設業界の仕組みから「働き方改革」の問題点。
今後も生き残ることができる建設会社の特徴を弊社代表の竹井がお話しします。

建設業の残業について考える

目次

建設業の職人は残業をどう捉える? コロナで表面化した建設業の課題と向き合い方【1】

■ 建設業に蔓延する「残業して当然」の背景に建設業界の構造

時代錯誤に感じられてしまうかもしれませんが、建設業は「残業」や「働き方」に対する取り組みが他の産業と比べて非常に遅れをとっていました。

私が独立する前〜20代前半の頃は、少し無茶な働き方をすることもありました。

当時の私はがむしゃらに仕事に打ち込んでいましたが、若い頃を振り返って思うことは、無茶な働き方をさせていては、人は長く勤めることはできないということ。

ひとつの現場が約半年〜10ヶ月の工期だった時などは、終わる頃には職人が誰一人残っていない、なんてこともよくありました。

 

独立後などは仕事を獲っていくことに必死ですし、大変だとわかっていても受注せざるを得ないことだってある。

しかし、建設業こそ「人」が最も大事なのです。

 

ショウエイ技建が、いま、社員の働き方や労働環境に対して真剣に取り組んでいるのは、私が若い頃に得た気づきが大きく影響しています。

建設業がなぜ「納期」についてシビアな業界なのか少しお話します。

例えば商業施設やテナントビルなどは、建物が出来上がって、場所を借りるテナントとの契約が結ばれて初めて売上が立ちます。

もちろん建設中にテナントはどんどん決まっていきます。

もう想像がつくと思いますが、竣工が1日でも遅れると、とても大きな額のお金が動いてしまうのです。

オーナーに入るはずだった家賃が入らない、という意味です。

 

また、商業施設では「◯月◯日にオープン!」といった広告も大々的に打ち出しますので、オープンの日取りをずらすことも現実的にはできないのです。

建設業の「残業」を無くす

すなわち「納期に間に合わせる」ことが建設業界の絶対条件。

技術や人員が不足している場合、作業時間でカバーするしかないため、残業が発生してしまいやすい傾向にあるのです。

 

また、建設業界は一次請け→二次請け→三次請け、といった「重層構造」になっていることにも特徴があります。

(最近では業務管理や安全管理の観点から、重層構造を変えていこうとする動きも活発になっています。)

建設業に限ったことではありませんが、二次請け、三次請けの会社は、自分の取引先に対して継続的な取引を目指すため非常に気を遣います。

 

総務省の統計データ「経済センサス 2016年(平成28年)活動調査」によれば、個人事業を含む43万1736社のうち約7割の建設会社が従業者数4人以下の零細企業と報告されております。

万が一、納期が遅れてしまったり、何かトラブルが起きてしまっては、簡単に仕事はなくなってしまうのです。

先にもお話しましたが、社長は仕事にがむしゃらになる一方、一緒に現場に立つ職人の労働環境もなかなか見直すことができずに後回しになってしまっている、という会社は未だに少なくないと思います。

小規模の会社ほど、そこにもどかしさを抱えているのではないでしょうか。

 

建設業の職人は残業をどう捉える? コロナで表面化した建設業の課題と向き合い方【2】

■ 残業を重く見た厚生省が「働き方改革」を推進するものの……

事態を重く見た国土交通省は、職人の労働環境の改善・若者の就職促進を目的とし、2019年4月より建設業にも働き方改革を導入させました。

長時間労働の是正(週休2日の確保)

技能や経験にふさわしい処遇(給与)の実現・社会保険の徹底

生産性の向上

建設業における働き方改革には以上の3本柱が掲げられており、年を追うごとに施策は本格化させておりますが……建設業にとって有効に機能するかと訊かれれば疑問は残ります。

 

いずれも問題は根深いですが、今回は「週休2日の確保の徹底」に着目します。

建設業の「残業」を無くす

先述の通り、施工会社は納期内に現場を納めることが求められ、効率的な施工や会社の努力で工期を圧縮する(施工期間を短縮し、稼働日数を抑える)ことで利益を出しております

そもそもやっとの思いで工期圧縮、利益の確保をしているところに、週休2日を徹底しても、その分工期が延びるというわけではなく、労働時間に対する単価が上がるということでもありません。

 

納期に遅れることが、施工会社としての信用を失うこともお話ししました。
工事にも公共工事と民間工事があり、比較したとき、民間工事に対する納期の捉え方は公共工事よりもシビアです。

週休2日が導入された結果、現場に配置する人員を増加するか、または労働「時間」で補うか、中小企業にとってはどちらも難題です。

 

つまり、もっと本質的な部分を改善していかなければならない、ということです。

「稼働日数を減らそう!」と、表面的なことばかりやっていても、多くの施工会社が「休んだ分、どこかで時間を作らねばならない」という焦りと不安を抱えるのは明らかです。

 

表向きの「職人を守る働き方改革」を遵守させることが、我々中小企業の施工会社にとっては「命取り」にも繋がりかねない。

社会保険の加入もかなりルールが徹底されてきていますが(会社として当然の義務ではありますが)……このように業界を深堀りしていくと、加入をするだけの資金を持てずにいる会社が沢山ある実態も見過ごすことはできません。

 

建設業の職人は残業をどう捉える? コロナで表面化した建設業の課題と向き合い方【3】

■ それでも前を向いてどうすればいいか考える!ショウエイ技建の職人は「残業やめよう!18時に帰ろう!」

 

昔ながらの考え方が残る建設業では、「今日の分の仕事が時間までに終わらないなら、残ってやればいい」というスタンスの方もまだいるかもしれません。

ショウエイ技建は、先に話した実体験での学びによって、その考え方を変え、

「原則残業はしない」

「その分人数でカバーする」

「業務中の無駄を探して、早く帰るための工夫を考える」

という方針を、大事にしています。

 

1日のノルマを定時までに終わらせることは原則とし、

8:00~17:30(休憩2時間を挟む実動7.5時間)

を徹底しております。

 

これは私自身、残業が重なり離れていく職人を見てきたからこそ「まず残業をやめないと人が続かない」ことを目の当たりにしてきたからこそ、重んじていることです。

 

省ける無駄な時間を徹底的に洗い出すことから、私たちの「働き方改革」は始まりました。

 

たとえば、休憩所は必ずしも現場の近くに併設されているわけではありません。(特に弊社の現場は大きな施設が多いです。)

13時から午後の仕事が始まるのであれば、休憩所→作業現場の移動時間も計算した上で休憩を取る、時間キッカリに作業が始められる工夫を取り入れています。

喫煙者の方なら作業開始前の一服の時間もあると思いますが、その時間も計算に入れて、余裕をもって一人ひとりが行動します。

 

朝の朝礼後も、開始時間が過ぎてからダラダラと徐々に仕事モードへ切り替えていくのではなく、「作業開始時間には目の前の作業に集中できる状態でいる」という意識を、職人と話し合いながら、長い時間をかけて浸透させてきました。

無論、作業開始時間をキッチリと守ってもらうのですから、終了時間も定時を17:30に設定し、キッチリ決めています。

現場での動きを細かく見ていけば、自分たちの努力で改善できることも沢山あるということです。

 

このような意識が全社に浸透するまで10年もの年月が掛かりましたが、今は若い世代にも会社の方針が伝わり、多くの社員が時間厳守、無駄を無くす姿勢を大事にできています。

 

また、この方針は弊社の社員だけでなく、協力会社の方々にもお願いしてきました。(現在は協力会社様を増やすことはしておりません)

弊社が受け持つ現場で、同じ仕事を共にする以上、社員も協力会社の方々も足並みは揃えなければなりません。

 

誰だって、早く帰って自分の時間も持ちらい、仕事とプライベートのバランスを保ちたい、という思いがあるはずですし、体が資本の仕事ですから、遅く帰宅するようでは1日の疲れも十分に取れず次の日を迎えることになります。

 

染み付いてしまった習慣は、これだけ徹底的に全員で取り組まないと変わっていきません。

一人ひとりが高いパフォーマンスができてこそ、職人の技術向上につながると考えております。

 

建設業の職人は残業をどう捉える? コロナで表面化した建設業の課題と向き合い方【4】

■ どうしても残業…の場合であっても、残業にゴールを設定

 

時に、仕事が立て込んでいる場合や緊急的な状況下においては「どうしても残業を避けられない」ケースもゼロではありません。

しかし、そういった場合であっても……

「遅くても『19時』限界まで残ったとしても『20時』

20時まで残業しても終わらないのであれば、翌日以降人数の増員をして補います。

残業はただ”残ればいい”わけでなく、仕事を終わらせるために”追加で”働く時間であることを忘れてはなりません。

 

時間外の給与も

週40時間を超えた勤務は残業となり25%増

1日7.5時間を超えたら残業となり25%増

月〜金まで出勤した場合、その週の土曜日は25%増

私用の早退を除き、通常稼働日は早く仕事が終わっても7.5時間で計算

日曜日の稼働が発生する場合は挙手制。会社の都合で出勤をする場合、代休を設ける

と、行った体制です。

イレギュラーで土日の出勤・残業をするにしても、その分「手当て」や「代休」を駆使し、できる限り働きやすい環境を整えております。

 

建設業の職人は残業をどう捉える? コロナで表面化した建設業の課題と向き合い方【5】

■ 職人の働き方に真の安心を、移り変わる建設業界に一石を投じたい

建設業の「残業」を無くす

弊社は他にも

賞与(業績による)

道具・制服の貸与

有給休暇

交通費100%

社会保険の完備

に取り組み、実現してきました。

 

職人が、社員として安心して長く勤めることのできる職場環境を目指しています。

国が掲げる働き方改革も、これからの建設業界を危惧した政策であることに間違いはありません。

ショウエイ技建は「新しい建設業の働き方」「職人のあり方」をいち企業から提示し、建設業界へのネガティブなイメージも払拭する程の会社でありたいのです。

建設業の「残業」を無くす

そのために、会社そのものが建設業界の動向を見据え、有事でも耐えられるよう、日々貯蓄や資金の使い方をこれまで以上に考えなければなりません。

 

建設業の職人は残業をどう捉える? コロナで表面化した建設業の課題と向き合い方【6】

■ 有事の際でも職人の生活が揺るがない会社を創っていく

建設業の残業について社長が答える

「先を考える会社であるかどうか」
会社の予見性を表面化させたのが、世界を一変してしまったコロナウィルスです。

テレビや新聞では外食産業や観光業が多大な被害を被ったニュースが大きく報道されましたが、経済の流れが停滞したことで大ダメージを受けたのは建設業も同じです。

 

弊社はなんとか2021年5月いっぱいの休業補償を職人に支払うことができ、給与も減額せずに済んでおります。

これは、有事に備え会社が積み立てていたお金を切り崩すことができたからです。

万が一に備えることができたのは、弊社が2008年の「リーマンショック」を経験していることにも理由があります。

あの恐慌を乗り切ることができたのも、会社を信じてついてきてくれた職人、社員がいたからこそです。

 

今回の記事は「職人の残業」というテーマに対し、弊社の考えをお話しました。

 

旧態依然とした会社のあり方には限界が訪れようとしています。そして、働き方は、社内で協力すれば変えていけることもあります。

これから建設業へ就職・転職を志す方に、「しっかり自分の目で会社を選ぶ」という意識を少しでも持っていただけたら幸いです。

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